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研究の紹介

研究テーマ
目次
月探査データの解析
月探査データの解析
月の極
月の極
~水は有るのか?~
月の極には決して太陽の光が直接当たらないマイナス200℃にもなる永久影と呼ばれる所が存在します。永久影には水が濃集しているとも考えられていました。SELENEに搭載された地形カメラでは、月南極点にあるシャックルトンクレータの中がクレータの内壁からの太陽散乱光で照らしているタイミングで撮像に成功し、そのクレータの底には水氷が露出していないとの結論を出しています。なお、今世紀になってアポロ試料に水が見つかっています。月の中低緯度の月面のある程度広い範囲には、極の最濃集域の数分の1程度あることも分かっています。更に、中緯度に降りた嫦娥5号のサンプルからも、水が見つかりました。今後、月の中低緯度での水の調査が大変重要です。

図:SELENE搭載地形カメラが捉えた月南極シャックルトンクレータの底の様子
【関連主論文】
・月の極の水氷(レビュー),宇宙航空研究開発機構研究開発報告,2018.
・An explanation of bright areas inside Shackleton Crater at the Lunar South Pole other than water-ice deposits, GRL, 2013.
・Lack of Exposed Ice Inside Lunar South Pole Shackleton Crater, Science, 2008.
【関連記事】
・嫦娥5号(中国)のサンプルから水検知(2022年)
・LADEE衛星(米国)のデータから、月の至る所に水が存在する可能性(2019年)
・チャンドラヤーン1号(インド)のデータから、中低緯度にも水の証拠(2017年)
月の縦孔/溶岩チューブ
月の縦孔・溶岩チューブ
~月に見つかった未知なる領域~
SELENE搭載地形カメラによって、月に直径50mを越える巨大な縦孔が発見されました。この縦孔は地下の溶岩チューブに空いた「天窓」とも考えられています。実は、このような縦孔は火星にも発見されています。月・火星の縦孔、そして溶岩チューブに関して、地質学、宇宙プラズマ物理学、生命科学、、と多くの研究課題が提示されているとともに、将来の基地候補としての有用性も指摘されています。様々な視点から月・惑星の縦孔、溶岩チューブの研究を進めています。

図:月表側嵐の大洋の中、マリウスヒルに見つかった月の縦孔(直径約50m)
【関連記事】
・UZUME計画ホームページ
ISECG(アメリカが主導する、各国宇宙機関の有識者が参加する団体)の宇宙探査のロードマップ補遺に、溶岩チューブ探査が探査候補地点として記載(p33 4-b)。
中国航天局が、国際月研究基地構想書の中で、月面通信基地建設に続いて、月地下の溶岩チューブに基地建設を目指すことを発表(p10)。
中国−ロシアは、共同月基地建設場所として、マリウス丘(Marius Hills)を候補と発表。(SELENEは、マリウス丘に地下へとつながる縦孔を発見している。)
クレーター年代学
クレータ年代学
~月表面の形成時期を調べる物差し~
クレータの多い少ないでその地域の時代を推定する手法をクレータ年代学といいます。SELENE搭載地形カメラによって、数10m~数100mのクレータも高い精度で計測できるようになり、これまで以上に多くの地域で年代が推定されるようになってきています。今後、多くの地域で再測定が必要であると同時に、新たに分かった形成年代から月の進化史を構築し直すことも今後の課題です。また、最近新たな年代推定のモデルも提案されてきており、クレータ年代学が再び大きく発展する時期に入りつつあります。右図の領域では、クレータのサイズにより二つの年代が出てくることがわかります。そのため、この領域は少なくとも二段階の溶岩噴出が有ったことが解明されました。

図:マリウスヒルに見つかった孔の近傍の領域のクレータカウンティング結果(カウンティング : 諸田博士)
月表面の渦巻き
月表面の渦巻き
~磁気異常とも関連する不思議な模様~
月の上に、不思議な渦巻き模様が見つかっています。この模様は一体何なのか?この模様の有るところの多くには磁気異常が見られ、それが、この模様の成因を解明するヒントになるのかもしれません。地形、地質、鉱物のデータからこの模様の特徴を解明し、また磁気データ、地下サウンダーデータともあわせ、この模様の謎に迫ります。
アポロ時代から右図のような模様の場所には磁気異常があることが知られています。高解像度地形カメラデータで調べても、模様の白いところと黒いところには、さほど大きな差異があるようには見られません。

図:嵐の大洋にある不思議な渦巻き模様、ライナーガンマ
分光データ調査
分光データ調査
~どんな鉱物がどう広がるのか?~
スペクトルプロファイラによって得られている可視~近赤外領域の連続スペクトルから、鉱物の同定が行えます。どんな鉱物がどこにどう広がるのか?鉱物の分布形態を地形カメラ、マルチバンドイメージャ、或いは地下レーダサウンダーデータとも合わせて解析することで、様々な月の地域の物資的特徴を調べ上げ、月の進化に迫ります。様々な様相を見せる月の火山。地下の情報が現れる大きなクレータの底や中央丘。奇妙にも、地形の特徴とは全く関係ないところに見られる物質群。分光データによって新たに調べなければならない課題が山積しています。
右図の色の違いは鉱物あるいは粒子サイズの違いなどを示しています。スペクトルプロファイラデータの全球的な調査で、マントル物質と考えられているカンラン石の月表面における分布が、初めて分かりました。

図:Nature Geoscience誌(2010)表紙
スペクトルプロファイラデータのバンド特徴を抽出して作った2次元データ
月以外の天体探査データ解析
氷衛星のPit構造